映画『ブラックナイトパレード』は吉沢亮を愛でる映画！中川大志演じるパリピサンタも出番待ちをしてしまうほどハンパないです

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

本日ピックアップするのは、吉沢亮主演映画『ブラックナイトパレード』（2022年12月23日公開）。中村光の同名漫画を『今日から俺は!!劇場版』、『銀魂』などの福田雄一監督による映画化です。漫画原作の映画化が多い監督ですから、爆笑必至に違いない！ ……と思ったのですが、意外な一面も。

では、物語からいってみましょう！

コンビニ・ポーソンで3年間バイトしている日野三春（吉沢亮さん）。

結構真面目に学生時代を過ごしてきたけれど、大学受験に失敗してから人生がおかしくなっていく。就活しても不採用の嵐。彼女もできず、モンモンとする日々を過ごしていました。

そんなとき、バイト帰りに入った屋台の店主（声：玉木宏）に囚われ、連れて行かれた先は北極の「サンタクロースハウス」!?

この映画は吉沢さんのアップが多いので細かい表情の変化がよくわかる。『キングダム』で王をキリッと演じた人とは思えません！　役者としての振り幅の広さに驚きました。

超イケメンのダメ男ってとこがよくて……まさに吉沢亮を愛でる映画！

受験と就活、連続して失敗したダブルパンチが日野の人生を狂わせ、もう何をやってもうまくいかないんです。

さらには、コンビニでも一緒に働くチャラい・田中カイザー（中川大志さん）のフットワークの軽さと要領の良さに振り回されっぱなし。仕事はいい加減なのに就職先が決まり、加えて彼女とクリスマスデートだ、とさっさと帰ってしまうカイザー。

そんな彼のせいで日野はクリスマスの日に残業になってしまいます。めっちゃ不憫〜！

普通ならキレでもおかしくない状況ですが日野は「就職おめでとう」と一緒に喜び、デートにまで送り出すのです。心中複雑ではあるのですが、いい奴。そんな日野を吉沢亮さんが絶妙な芝居で見せています。

チャラくていい加減な割に、世渡り上手な田中カイザーを演じる中川大志さんは、超振り切った芝居でカイザーを魅力的に見せていました。

生真面目で要領の悪い日野に対して「良い子が褒められるのは小学生まですよ〜」と、チクチク言ってくるカイザー。

いちいち癇にさわるのですが、ずっと笑顔だし、決め決めのオーバーアクションが楽しすぎて、カイザーが出てくると、“田中カイザーショー” になって場面をさらう……。とても破壊力のあるキャラで、私は「早くカイザー出てこないかな」といつの間にか出待ちをしていましたよ！

そんなインパクト大の面白キャラに仕立て上げたのは中川さんの芝居あってこそ。「こんなコミカルな芝居もできるんだ！」と新たな魅力に釘付けになりました！

と、俳優さんたちの魅力を書いてきましたが、中村光さんの原作だけあって、物語も奇想天外で良かったです。

「サンタクロースハウス」から、なんと憧れの「内定」をもらい就職することになる日野。

実は、屋台の店主はクネヒトという「サンタクロース会社」の社長。ここは黒いサンタが悪いことをした子どもに欲しくないプレゼントをするという悪魔のような会社だったんです。

日野は違和感を感じつつも、1000万円というギャラに大興奮！　でも、本当は自分を必要としてくれる場所に心のどこかで喜びを感じているようにも見えました。

そしてトナカイになる試験に挑戦したり、突然「サンタクロースハウス」に現れた田中カイザーに困惑したり……とドタバタな展開！　でも日野は、そんなハチャメチャな経験をしつつも、社会に揉まれて成長していく若者と同じように強くなっているように感じました。

ブラックサンタ経験も悪くないじゃん、って……。

前半は福田雄一監督らしい飛ばし方をしているのですが、後半は赤いサンタクロースの秘密、田中カイザーの意外な一面が現れたりして、少しハートウォーミングな展開に。真面目なシーンでギャグをぶっ込んだりする福田監督の芸風が少し抑えられているように感じました。

あと、ラストシーンにびっくり！　「え、終わり？これで終わりなの？」ってつづきがありそうな気がして仕方ありません。

年末年始に見るのにぴったりの映画『ブラックナイトパレード』。感染対策バッチリにして、ぜひ劇場で見てください。

執筆：斎藤香（C）Pouch
Photo：（C）2022「ブラックナイトパレード」製作委員会　（C）中村光／集英社

『ブラックナイトパレード』
（2022年12月23日より、全国公開）
監督：福田雄一
脚本：福田雄一、鎌田哲生
原作：『ブラックナイトパレード』中村光（集英社「ウルトラジャンプ」「デジタルマーガレット」連載／コミックス1-7巻発売中）
出演：吉沢亮　橋本環奈　中川大志　渡邊圭祐

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