【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは映画『東京リベンジャーズ』(2021年7月9日公開)です。和久井健の人気コミック「東京卍リベンジャーズ」をイケメン俳優総出演で描いたケンカ上等なヤンキー映画。しかし、この映画はただのヤンキー映画とは違い、主人公が大切な人を救うためにタイムリープして闘うという、変化球なヤンキー映画なのです。では、物語からいってみましょう。

【物語】

冴えない毎日を送っていたタケミチ(北村匠海)の元恋人ヒナタ(今田美桜)が「東京卍會」の抗争に巻き込まれて亡くなりました。その事件の翌日、彼は駅のホームから転落。

目覚めると、高校時代のタイムリープ! ケンカに負け続けた最悪の思い出しかない高校時代でしたが、過去に戻ることで亡くなったヒナタを助けることができる!と、タケミチは、ヒナタの命を奪った、危険な組織「東京卍會」を消滅させようとするのです。

【ヘタレがボコボコになりながらも前進する姿がアツイ!】

原作未読だったので、勝手に『クローズZERO』みたいな不良映画だと思っていたのですが、意外にも主人公が、喧嘩が弱くて自己評価の低いダメ男子でなんですよ。しかし、なんと本作はタイムリープ映画! 過去に戻ったタケミチは次第に心が覚醒していくのです。

ケンカはずっと弱いけど、ヒナタを救うという目的があるので、絶対に逃げない!現代の自分も過去の自分もさえない奴だと自覚しつつも「こんな俺だけど、大事な人を守る気持ちは誰にも負けない!」みたいな、タケミチなりの男気が端々から感じられるようになっていくのです。

演じる北村匠海さんがドンピシャのキャスティングで、ダメダメなタケミチがどんどん魅力的なキャラになっていったのは、彼が演じたからでしょう!

【脇役まで魅力的!吉沢亮と山田裕貴の2トップが最高!】

タケミチは「東京卍會」を消滅させようとするのですが、あろうことか総長マイキー(吉沢亮)に気に入られ「タケミっち」とか呼ばれて友達になるんです。このマイキーを演じる吉沢亮さんもいいんですよ~。

本作の映画化にあたり、スタッフ全員一致でマイキー役は吉沢亮一択だったそうで、彼に断られたら本作は頓挫していたかもしれないというほど絶対的な存在だったそう。ヤンキー軍団トップのカリスマ性の中に、いつ切れるわからない凶暴性も秘めていてかっこよかった。彼のアクロバットのようなハイキックにはほれぼれします!

で、マイキーに負けない存在感を放っているのが副総長のドラケン(山田裕貴)。ドラケンは、マイキーに従うというより、彼を守りながらもマイキーが間違った方向へ走り出そうとすると戒める強さもあるんです。あるシーンでマイキーがドラケンに「お前がいてくれてよかった」みたいなことを言うんですが、もう胸アツ!

ドラケンはすごく器の大きい男で、彼あってのマイキーなんだと感じさせる名参謀。

そんなドラケンになりきるために山田さんは側頭部をそり上げ、ドラケンヘアを完成させて撮影に臨んだそう。この映画での活躍で、山田さんの人気が爆上がりしそうな予感がします!

【間宮祥太朗&清水尋也のためにも続編を!】

さて、マイキーもドラケンも実はいい人で、カタギには手を出さないヤンキーなのに、本当に「東京卍會」の抗争でヒナタの命は奪われたのでしょうか?

実は「東京卍會」を乗っ取ろうとしている輩がいて、それが原因で「東京卍會」は大きく変わってしまったのでした。タケミチはその原因となった抗争を止めようと動き出すのですが、それはなかなか手強くて……。この先は映画を見ていただきたいのですが、ほかにもタケミチと親友アッくん(磯村勇斗)のエピソードもありと、見どころ満載!

しかし、難点もあり、実は「東京卍會」を虎視眈々と狙う暴走族「愛美愛主(メビウス)」を裏で操るキサキ(間宮祥太朗)やハンマ(清水尋也)というワルがいるのですが、彼らの出番がめちゃくちゃ少ないのです。

間宮さんが本作の公開イベントで「僕たちは伏線の状態だから続編をお願いしたい」と語っていたけど、本当にそう!実にもったいない!

というわけで「求む!続編」と言いたくなる映画『東京リベンジャーズ』。イケメンヤンキーたちの喧嘩は泥臭さよりカッコよさが際立っているので大いにオススメです!

執筆:斎藤 香 (c)Pouch

東京リベンジャーズ
(2021年7月9日より全国ロードショー)
原作:和久井健(講談社・週刊少年マガジン 絶賛連載中)
監督:英勉
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗/間宮祥太郎/吉沢亮
(c)和久井健/講談社 (c)2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会